【保存版】積水ハウスの10年点検は必要？費用や内容を徹底解説

家は建てて終わりではなく、住み始めてからの維持管理が本番です。 結論からはっきり申し上げますと、積水ハウスの10年点検は、大切な家の資産価値と将来の安心を守るために絶対に受けるべき重要なイベントです。

なぜなら、この10年目のタイミングで適切な点検と必要なメンテナンスを行わないと、積水ハウスの大きな魅力である「初期30年保証（またはそれ以上）」のメーカー保証が、そこで打ち切られてしまうリスクがあるからです。

僕は最終的にアイ工務店で家を建てましたが、ハウスメーカー選びの段階では、業界最大手である積水ハウスについても徹底的にリサーチしました。その時に得た知識や、実際に積水ハウスに住んでいる知人の話をもとに、積水ハウスの点検制度の仕組みや、オーナーが知っておくべき重要ポイントを分かりやすく解説します。

この記事を読むことで、10年点検当日に向けてどのような準備をすべきか、また、提示されたメンテナンス見積もりが適正かどうかを冷静に判断できるようになります。これから点検を迎える方はもちろん、積水ハウスを検討中の方も、ランニングコストの現実を知るための参考にしてください。

積水ハウスの10年点検で資産価値を守るための重要ポイント

積水ハウスの10年点検は、単なる定期的な安否確認のようなものではありません。新築時の引き渡しから10年間、建物を守り続けてくれた「初期保証期間」がひとつの区切りを迎え、次の10年へと保証を延長するための重要な「分岐点」となる手続きです。まずは、具体的にどのような点検が行われるのか、その全貌と重要性を深掘りしていきましょう。

積水ハウスの10年点検の内容と当日の流れを把握しよう

積水ハウスの10年点検は、突然担当者がやってくるわけではありません。事前に往復ハガキや電話などで案内が届き、オーナーの都合の良い日時を調整してから実施されます。平日は仕事で忙しいという方でも、土日の対応も可能なケースが多いので安心してください。

当日は、積水ハウスの建物構造を熟知した「カスタマーズセンター」の担当者や、認定を受けた専門業者が訪問します。一般的な流れとしては、まず外回りの確認からスタートします。基礎のクラック、外壁の汚れやシーリングの状態、屋根のズレなどを目視や打診棒などの道具を使ってチェックします。

その後、室内に入り、床下点検口から床下の状態を確認したり、小屋裏（屋根裏）を覗いて雨漏りの跡がないかを見たり、建具（ドアや窓）の開閉動作を確認したりするのがスムーズな流れです。

ここで特に重要なのは、この点検作業自体は「無料」であるケースがほとんどだということです。「点検に来てもらったら、出張費などを請求されるのでは？」と心配される方もいますが、積水ハウスの保証プログラムの一環として行われるため、点検費用はかかりません。

ただし、点検の結果、「ここを直さないと雨漏りしますよ」と指摘された箇所の補修工事や、保証を延長するために必須となるメンテナンス工事を行う場合には、別途費用が発生します。当日は立ち合いが必要になるので、時間の余裕を持ってスケジュールを空けておき、気になっている箇所を質問できるように準備しておきましょう。

プロの視点で10年点検はどこを見るのか詳しく解説

点検箇所	主なチェックポイントと重要度
基礎・構造	【最重要】 基礎コンクリートの幅0.5mm以上のひび割れ（クラック） 鉄筋の露出 換気口の状態 シロアリの蟻道有無
外壁	【重要】 目地（シーリング・ガスケット）の硬化・剥離 外壁材のひび割れ チョーキング（白亜化） 汚れの付着状況
屋根	【重要】 屋根材（瓦・スレート）のズレ・割れ 板金の浮き・サビ 防水シートの劣化 コケの発生
室内・設備	床・天井の傾き 雨漏りのシミ跡 建具（ドア・サッシ）の動作不良 給排水管の水漏れ 火災報知器の動作

10年点検でプロの検査員が特に注視するのは、「構造耐力上主要な部分（柱、基礎、梁など）」と「雨水の浸入を防止する部分（屋根、外壁など）」です。これは「住宅の品質確保の促進等に関する法律（品確法）」で、新築時の引き渡しから10年間の瑕疵担保責任（保証）が義務付けられている部分でもあります。

積水ハウスの場合、外壁材に「ダインコンクリート」や「ベルバーン」といった、非常に耐久性の高い独自の素材を採用していることが多いのが特徴です。そのため、外壁材そのものがボロボロになることは稀ですが、注意すべきは板同士をつなぐ「目地（シーリングやガスケット）」の状態です。

ここは紫外線や温度変化による伸縮の影響を受けやすく、ゴムパッキンのように硬化したり、ひび割れたりしやすい消耗品部分です。ここから雨水が侵入すると、内部の鉄骨や断熱材を傷める原因になるため、点検員は目を光らせてチェックします。

また、最近ではドローンを使って屋根の上空から高解像度カメラで撮影し、普段ハシゴでも見えないような部分まで細かくチェックするケースも増えているようです。家の中では、洗面所やクローゼットにある床下点検口から基礎の内側を確認し、配管からの水漏れや、シロアリの通り道である「蟻道（ぎどう）」がないかを確認します。

普段の掃除では絶対に見きれない「家の見えない部分」こそ、プロの目が光るポイントであり、この点検の最大の価値と言えます。

ちなみに、24時間換気システムのフィルター掃除などは、点検を待たずに日頃からオーナー自身で行うべきメンテナンスです。積水ハウスの換気システムのお手入れ方法については、以下の記事でも詳しく解説しているので、点検前に掃除方法をおさらいしておくと良いかもしれません。

意外と見落としがちな10年点検でのベランダ防水チェック

外壁や屋根といった目立つ場所に目が行きがちですが、実は「ベランダ（バルコニー）」は住宅の雨漏り原因の上位を占める、非常にリスクの高い要注意スポットです。

積水ハウスのベランダは、新築時にしっかりとした防水処理（主に塩ビシート防水など）が施されていますが、屋根がなく紫外線や雨風に常にさらされている過酷な環境のため、10年も経てば防水層の表面が劣化してきます。

点検時に特に注意深く見られるのが、排水口（ドレン）周りの汚れや劣化状況です。ここに落ち葉や土埃、洗濯物から出た糸くずなどが詰まると、雨水がスムーズに流れずにプールのように水が溜まってしまいます。

水が滞留すると防水層の劣化を早めるだけでなく、オーバーフローして室内に水が浸入する原因にもなります。点検では、防水シートの継ぎ目がめくれていないか、表面が摩耗して薄くなっていないかを入念にチェックされます。

もし防水機能が低下していると判断された場合、保証を延長するための必須条件として「防水トップコートの塗り替え」や「シート防水の補修・張り替え」を提案されることが多いです。

「普段洗濯物を干すくらいしか使っていないから大丈夫」と思っていても、経年劣化は確実に進んでいます。 ベランダからの雨漏りは、直下にあるリビングなどの天井にシミを作るだけでなく、構造体そのものを腐らせる原因になるため、油断は禁物ですよ。

10年点検でシロアリ防除工事が必要とされる重要な理由

「うちは積水ハウスの鉄骨住宅だから、シロアリなんて関係ないでしょ？」と安心している方、それは非常に危険な誤解です。

確かに鉄骨の柱そのものをシロアリが食べることはありませんが、積水ハウスの鉄骨住宅であっても、床の下地材、巾木（はばき）、ドア枠、和室の敷居など、家の内部には多くの木材が使われています。シロアリはコンクリートのわずかな隙間からも侵入し、鉄骨には目もくれず、大切な家の内装木部を食い荒らしてしまうのです。

新築時に施された防蟻処理（薬剤散布など）の効果は、使用する薬剤の種類にもよりますが、一般的に5年〜10年程度で効力を失います。そのため、10年点検のタイミングで改めて床下に潜り、防蟻剤の再散布などの工事を行うことは、家を長く守るための必須事項と言えます。

そして何より、積水ハウスの「構造躯体保証」や「雨水浸入防止保証」を延長するための絶対条件として、この「有償の防蟻工事」がセットになっていることが一般的です。防蟻工事の費用は、建物の坪数にもよりますが、おおよそ10万円〜20万円程度かかることが多いです。

「まだシロアリが出ていないのにお金を払うのはもったいない」と感じるかもしれませんが、これをケチって保証が切れてしまうリスクや、万が一被害に遭った時の数百万円規模の修繕費を考えると、必要経費と割り切るべきでしょう。

もしも積水ハウスの10年点検をしないとどうなるのか

もし、「仕事が忙しい」「お金をかけたくない」といった理由で、積水ハウスからの10年点検を無視したり、点検後に提案された必須メンテナンス工事を拒否したりするとどうなるのでしょうか。最大のデメリットは、これまで付いていた手厚い「メーカー保証」が、10年の満了日をもってそこで打ち切られてしまうことです。

積水ハウスでは「初期30年保証」などの長期保証制度を用意していますが、これはあくまで「途中の点検（10年目、20年目など）を受け、メーカーが必要と判断した有償メンテナンス工事を実施すること」が継続の条件になっています。 （出典：長期保証制度（永年保証）| 積水ハウス）

つまり、10年目の点検を受けない、あるいは必要な工事を行わないということは、それ以降、万が一雨漏りや構造上の重大なトラブルが起きても、積水ハウスに無償で直してもらう権利を放棄するのと同じ意味になります。

また、将来転勤などで家を売ることになった場合、積水ハウスの認定中古住宅「スムストック（SumStock）」としての評価が得られにくくなります。「メーカーの管理下で適切にメンテナンスされてきた家」という履歴が途絶えることで、売却価格が下がってしまう可能性もあります。

「点検を受けない」という選択肢は、目先の出費は抑えられますが、長期的な視点で見ると損をする可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

積水ハウスの10年点検以降に訪れるメンテナンス費用目安

10年点検が終わって一安心…と思いきや、家の維持管理はずっと続きます。むしろ、15年、20年と時が経つにつれて、設備の寿命や部材の劣化が進み、より本格的で高額なメンテナンスが必要になってきます。ここでは、将来を見据えて知っておきたい、10年点検以降の費用の目安について解説します。

簡易的と言われる積水ハウス15年点検の費用の実態

10年点検をクリアして次にやってくるのが、引き渡しから15年目の「15年点検」です。多くの積水ハウスオーナーの体験談を聞くと、15年点検は10年点検に比べて「あっさり終わった」「外回りを見て数十分で終了した」という感想を持つ方が多いようです。

これは、10年目にしっかりとした点検と防蟻処理などのメンテナンスを行っていれば、15年目の時点ではまだ建物の機能に致命的な劣化が発生していないことが多いためだと考えられます。主な内容は外回りの目視確認や、オーナーからの聞き取りが中心で、点検費用自体も基本的にはかかりません。

ただし、10年目の点検で指摘された箇所を直していなかったり、その間に大型台風や地震などの被害があったりした場合は、このタイミングで補修を提案されることもあります。

また、この15年点検は、次に控える「20年目の大規模な点検とメンテナンス」へ向けた中間のチェックポイントと捉えておくと良いでしょう。ここで大きな異常がなければ、次の5年間で20年目の修繕費用をしっかりと貯めておく準備期間にすることができます。

構造躯体まで対象となる20年点検はどこを見るのか

点検対象	20年点検での重要度とチェック内容
構造躯体	★★★★★（最重要） 建物の傾き、基礎の深刻なひび割れなど 保証延長の鍵となる部分
防水性能	★★★★★（最重要） 外壁塗装の劣化、目地の寿命、屋根防水シートの状態 雨漏りリスクが高まる時期
設備機器	★★★★☆ 給湯器（エコキュート等）、食洗機、換気システムなど 機械類が寿命を迎える頃
内装・建具	★★★☆☆ フローリングの傷、クロスの剥がれ、ドアの調整など 生活に関わる劣化の確認

築20年を迎えると、人間で言えば成人式。建物にとっては、いよいよ全体の耐久性が試される重要な時期に入ります。20年点検では、構造躯体（家の骨組み）や雨水の浸入を防ぐ防水部分について、10年点検以上に詳細かつ厳格な診断が行われます。

積水ハウス独自の保証延長制度「ユートラスシステム」などを利用して、さらに10年間保証を延ばしたい場合、この20年目の点検結果に基づいて、必要な是正工事を行うことが必須となります。

具体的には、外壁塗装のチョーキング（粉吹き）や剥がれ、屋根の下にある防水シート（ルーフィング）の寿命、バルコニーの防水層の限界などが厳しくチェックされます。これらは放置すると雨漏りに直結するため、メーカー側も慎重に判断します。

また、建物本体だけでなく、給湯器（エコキュートやエネファーム）、ビルトイン食洗機、IHクッキングヒーターといった住宅設備機器も、20年経つと故障や交換時期を迎えるものが一気に増えます。「外壁などの建物本体のメンテナンス」と「設備機器の総入れ替え」が重なる時期になるため、総合的な資金計画が求められるのが20年点検の特徴です。

大規模修繕に備えて知っておきたい20年点検の費用相場

ここが一番気になるところですよね。包み隠さずにズバリ言います。積水ハウスの20年点検前後は、家のライフサイクルの中で最もまとまったメンテナンス費用が必要になる最大の山場です。

特に、積水ハウスの住宅は大きめの建物が多く、高耐久な外壁材を使っていても、目地の打ち替えや表面の保護塗装（クリア塗装など）が必要になるケースが多いです。これには「足場」を組む必要があるため、足場代だけでも20〜30万円かかり、結果として大規模な工事になりがちです。

また、積水ハウスの純正リフォーム部門（積水ハウスリフォームなど）で見積もりを取ると、一般的な街の塗装業者などの相場よりも、金額が高くなる傾向があります。

「えっ、そんなにかかるの？」と驚くかもしれませんが、これは「メーカー指定の高品質な塗料を使う」「独自の工法に対応した施工を行う」「保証をさらに10年継続させる」ための対価でもあります。

安易に「安いから」という理由だけで外部の業者に頼むと、メーカー保証が切れてしまうリスクがあるため、金額だけでなく保証内容や将来の安心感をしっかり天秤にかけて比較検討することが重要です。

もし、このタイミングで増築や間取り変更などの大規模なリフォームも併せて検討している場合は、以下の記事で積水ハウスのリフォーム費用についても触れているので参考にしてみてください。

積水ハウス純正メンテナンス工事を選ぶべき最大のメリット

相場より費用が高いと言われがちな積水ハウスの純正メンテナンスですが、それでも多くのオーナーが純正を選ぶには、それだけの強力なメリットがあるからです。最大の理由は、やはり「保証の継続」と「資産価値の維持」です。

積水ハウスの建物は、独自の技術や特許部材が多く使われています。例えば、外壁の目地に使われる「ガスケット」などは、一般のホームセンターや街の塗装店では手に入らない特殊な部材であることも多いです。これを外部の業者が、一般的なコーキング材で上から適当に埋めてしまうと、本来の防水性能や耐久性を発揮できなくなる恐れがあります。

また、純正でメンテナンスを行えば、その工事履歴が積水ハウスのデータベースにしっかりと残ります。将来、何らかの事情で家を売ることになった際、「積水ハウスが責任を持って管理してきた家」として証明できるのは、中古市場において数百万円以上の価値差になる可能性すらあります。

「安心をお金で買う」という意味では、純正メンテナンスは非常に合理的な選択肢と言えるでしょう。

実際の事例を知るには20年点検のブログ記事も参考になる

ここまで一般的な解説をしてきましたが、やはり一番参考になるのは「実際に積水ハウスに住んでいて、メンテナンスを経験した先輩たちの生の声」です。

「積水ハウス 20年点検 ブログ」「積水ハウス 外壁塗装 費用 ブログ」などで検索すると、多くの施主さんが詳細なレポートを公開しています。特に、提示された見積もりの詳細な内訳や、値引き交渉があったのかどうか、実際に工事をやってみてどうだったかというリアルな感想は必見です。

僕も家を建てる時は、こうした施主ブログを読み漁って、将来かかる費用のイメージを膨らませて予習しました。営業マンのトークだけでなく、ユーザーの実体験に基づく情報は、判断材料として非常に強力です。

ただし、家の大きさや仕様（ダインコンクリートかベルバーンか等）、立地条件によって劣化具合や費用は全く異なります。ブログの情報はあくまで「一例」として捉え、鵜呑みにせず、自分の家の状態に合わせて担当者としっかり相談することが大切です。

まとめ｜積水ハウスの10年点検を受けて安心の暮らしを継続

積水ハウスの10年点検は、ただの形式的な定期行事ではなく、あなたの大切な資産を守り、家族の安全を確保するための非常に重要なイベントです。点検の結果、有償のメンテナンスが必要になり費用がかかる場面もありますが、それは長く快適に住み続けるための「必要な投資」と考えましょう。

積水ハウスという一流の家を選んだからこそ、その価値を最大限に保つために、適切なタイミングでのメンテナンスを行いましょう。10年点検をきっかけに、改めて愛着のある我が家の状態を確認し、次の10年も家族みんなで安心して暮らせる準備を整えてくださいね。

点検の結果、もしリフォームや設備の交換が必要になった場合は、当ブログの他の記事も参考にしてみてください。 賢い家づくりの知識は、建てた後もずっとあなたの役に立ちますよ！